方式別3Dプリンターの特徴
3Dプリンターっていろんな種類があるの??
という方のための解説です。
「3Dプリンター」と言っても様々な方式のものが存在します。そこで、5種類の主要な方式をご紹介します。
1.光学造形方式
2.粉末焼結積層造形
3.熱溶解積層法
4.石膏3Dプリンター
5.インクジェット方式
3Dプリンターの初期からある方式で、最も実績があり信頼性が高いです。
レーザー光線を使ってプール状の樹脂の表面に部品の断面を描き硬化させる事から光学造形方式と呼ばれています。硬化させた層は液面より下におろされ、その次の層に対して同じ処理が施されます。この繰り返しが整形まで続きます。
【メリット】
複雑な形状を一体成形できる
歴史があり実績のある方式。複雑な形状でも容易に整形することができる。軽量であれば一個あたりの出力単価も高くありません。
【デメリット】
重量物の造形に不利
光造形樹脂はABS材などと比較し樹脂単価が高価な為、重量があるモデルについては高価になります。
さらに材料はエポキシのみになります。ABSやアクリルはありません。汎用量産材料で造形をおこなう事ができない為、強度、透明度などは再現できません。
量産品と比較すると強度が弱い。材料の特性として太陽光での劣化が進みやすく長く使う物に向かない。複雑な形状も整形出来るため、かえって量産に向かない場合が出てくなどのデメリットがあります。
光造形についてかなり分かりやすい動画(試作工房モデルポートより)
漢字が読めない名前ですが、、、粉末状の材料にレーザー光線をあてて焼結させて各層を効果させていく方法です。
この方式では、材料が粉末状態で入手出来るものである必要があります。
【メリット】
光造形と比較して高精度で高耐久性が実現できます。また、複雑な造形のものも作成可能です。
【デメリット】
表面がざらざらした仕上がりになるので、つるつるした質感を求められるものには向かない。
ちょっと長いけど分かりやすい動画(みづほ合成工業所より)
プリンターヘッドが動き溶けた樹脂を押し出しながら積層する方式。
材料は糸や繊維状で提供され、その繊維を溶解しながら積層します。材料はABSやPCタイプの樹脂となります。
現在低価格3Dプリンターでは主流となっている方式です。
【メリット】
ABSなどの材料を使うので強度があり、状態によっては機械部品などの機能テストにも使えます。
【デメリット】
光造形等と比べると、層間の断層が目立ちやすくはっきり階段状になる。表面が平滑な造形が必要な場合には向きません。
短めの動画
米Cubify社のCube
インクジェットヘッドと焼石膏に似た水溶性の材料を使います。石膏粉末の薄い層の上をインクジェットヘッドによる微小水滴噴射で固形化する方法です。材料が石膏なので、強度的にはかなり弱くきめも荒いという特徴があります。
しかし、着色が容易でカラーでの表現が可能。フィギアなどの成形向きと言えます。
メリット:
他の方式に比べ造形時間が短かく、コストも安い。直接石膏に着色できるため、表現能力が高いと言えます。
デメリット:
材料が石膏なので、きめが粗くもろいという特徴があります。機械部品系には向いていません。粉を扱うため、部屋が粉っぽくなるようです。
成形後に含浸という処理が必要になり手間がかかります。
石膏造形機「ZPrinter650」を使った様子。含浸処理なども具体的に分かります。
インクジェットヘッドを使い、紫外線硬化性の樹脂を高解像度で噴射する方法です。噴射した樹脂を紫外線で固めながら積層して行きます。
表面の仕上げも滑らかで、平滑度も高い仕上げが期待出来ます。
メリット:
複数の素材を選択出来たり、混ぜたりすることが可能。表面が滑らかにできる。
デメリット:
紫外線硬化性の素材を使うため、太陽光での劣化が起こりやすい。
Objet社Edenシリーズのプロモーションビデオ
もっと詳しく知りたい人は「初心者MAKERSのための3Dプリンター&周辺ツール活用ガイド」がオススメ、とても参考になりました。
3Dプリンターを勉強する オススメ書籍3册!
意外にちゃんと読んでる人が少ない、クリス・アンダーソンの「MAKERS」。よく読むと、なぜこの本や3Dプリンターが注目されたかが分かります。
あとは、水野操さんの3Dプリンターや自宅でのファブリケーションについて書いた本もオススメ。
上の記事で触れた3Dプリンターの仕組みや評価ポイントがよく分かりますよ。