抜け毛を再生!3Dプリントで毛包を成長させる研究に成功
コロンビア大学研究者らは、3Dプリントされた型を使用して容器の中で人間の髪の毛を成長させる研究に成功しました。
ヒトの毛嚢が、人の皮膚への移植を必要とせずに、容器の中で人工的に生成されたのは初めてだそうです。
この画期的な技術は、製薬会社が育毛剤を探すための手順を改善するだけではありません。
より多くの人々に、毛髪再生のための道を開く可能性があります。
実験室で人工的に毛髪を成長させる研究は、長年行われて来ました。
しかし、成功したのはマウスなどの毛髪の成長に限定され、人間の細胞では成功しませんでした。
人間の皮膚は、表皮、真皮、および皮下のコア組織を含む、50を超えるさまざまな細胞を含む複雑な臓器です。さらに、血管系、感覚ニューロン、皮膚の免疫系、および毛包などのさまざま要素で構成されています。
そこで、研究チームは3Dプリンターにより、人間の毛嚢を成長させる自然な環境を作りだす研究を開始。容器の中で髪の毛を成長させることができる方法を確立しました。
具体的な方法としては、3Dプリンターを使用して、幅わずか0.5 mmの細長い延長部分を持つプラスチック製の型使用します。
チームは、ヒトの皮膚をカビの周りで成長するように設計し、その後、ヒトの毛包細胞を容器内に移植し、ケラチン細胞(毛髪の主な構造成分)で覆いました。さらに、細胞に毛髪の成長を助ける成分を注入しました。
この結果、3週間後にヒトの毛包が現れ、そして毛髪を作り始めました。
研究者らは、この手法により毛髪再生手術を受けている患者用の、無限の毛包の供給源につながる可能性があると述べています。
また、容器内で人工的に作られる毛包細胞は、育毛剤の研究過程でのスクリーニングに有効だと述べています。
この研究は「バイオミメティック開発アプローチを用いたヒト毛包の組織工学」とうタイトルで、Nature Communicationsに掲載されました。