【第一回 ケント紙編】レーザーカッターバトル
開封の儀で予告したとおり、早速検証をはじめました。
業務用のCO2レーザーカッター「LS100」と「HAJIME CL1」を戦わせようという、かなり無謀な戦いがはじまります!!
第一回目は、レーザーカッターでは比較的よく使われる「ケント紙」を加工しながら、主に彫刻に重きをおいて、双方の性能比較を行いたいと思います。使用しているケント紙はこちらです。
▼ケント紙
KOKUYO PRO(セ-KP19)
A4 93.5kg
はじめての企画ですので、双方のスペックをざっくり書いておきたいと思います。
スペック比較
2製品の仕様を以下の表にまとめております。
まず、主に目立つ差は値段です。この差が約3.5倍あります。
さらに、性能面では「最大加工速度」がなんと8.5倍も違います。この意味は、レーザーカット時のヘッドの移動速度でコレが早いと、加工時焦げを少なくしたり、なによりも時間短縮に繋がります。このあたりは文末に書きますので参照してみて下さい。
▼CO2レーザーカッターのスペック比較表
LS100 | HAJIME CL1 | |
---|---|---|
価格 | 約250万円 | 約70万円 |
レーザーの出力 | 35w | 40w |
加工エリア | 460 x 305 mm | 500 x 300 mm |
最大加工速度 | 254cm/s | 30cm/s |
本体サイズ(横幅x奥行きx高さ) | 775 x 725 x 450 mm | 800 x 500 x 270 mm |
生産国 | フランス | 日本 |
というわけで、値段も違えば性能差もある言わば畑違いであるため、今回のバトルでは「HAJIME CL1」の加工を条件を基準に「LS100」を同じに合わせるというスタイルで行っていきますので、そのあたりをご了承下さい。
彫刻テスト
ケント紙をレーザーカッターにて彫刻すると、型で押し込んだ「エンボス加工」のような状態になります。
用意した彫刻サンプルデータは、ベタ塗り並びに極細の線、さらに枠の部分は100mmとなっており、色んな要素が確認できる素材を作りました。
そして双方加工機の設定はこちらです。
▼加工機の設定
LS100 | HAJIME CL1 | |
---|---|---|
出力 | 7.5% | 10% |
速さ | 12%(約30cm/s) | 30cm/s |
解像度 | 600DPI | 500DPI(※1) |
※1 HAJIMEは縦解像度でスキップ数を設定でき、今回はステップ2を使用。
トイウコトデ、いきなり結果発表です。
どうですか???パット見どちらも違いがわかりません。。「HAJIME CL1」凄いですわ!!
これでおしまい!!となったら検証にはならないので、幾つかクローズアップして書いていきます。ぶっちゃけ重箱の隅をつつくレベルです。
1.加工ムラ
レーザーカッターでのベタ塗りは、レーザーの出力並びにヘッド移動時の安定動作を確認することができます。どちらかが不安定になると、ムラや欠ける箇所がでてきます。
それでは双方の枠部分を拡大してみます。ムラに関しては共に目立った所は皆無です。しかし「LS100」に比べ「HAJIME CL1」のほうが多少表面がボコボコしています。
その違いから、最初に見せました彫刻比較画像で「HAJIME CL1」の方がほんの少しだけ茶色くなってます。それでは、この加工の違いが出る場所がありますので次の比較に行ってみます。
2.文字の彫刻
これも、ほんとに言われてみれば確かに、、、という細かいレベルなのですが、分かりにくいので見てほしい部分に矢印をあてがいました。
影が濃く見えると、それだけエンボスされた凹凸がシャープに見えます。「加工ムラ」でも書いたとおり、「HAJIME CL1」の影がつく部分の表面が凹凸であるため、影の輪郭が若干ぼやけてます。
ですが、これも肉眼で分かるかというと、相当目がいい人じゃないとわからないレベルです。
3.繊細な彫刻
この比較をする前に、2つほど説明したいことがあります。
まず1つめは、レーザーカッターで彫刻する際ヘッドの動きは、インクジェットプリンターと同様に左右に動く「ラスターモード」で動作します。この動作のコントロールがうまくいかないと、思い通りの彫刻ができないそうです。
もう一つは「応答速度」についてです。レーザー発振器は命令を受けてからレーザー照射されるまで、若干のタイムラグがあるそうです。ものすごく短い時間ではあると言われていますが、細かい彫刻では影響がでるらしいです。
上記2つの動作を正確にコントロールできているか確認するために、0.1〜0.5mm縦線を彫刻するテストを行ってみました。結果はまさかの展開に・・・・
0.1mmで「LS100」にまさかの異変が、、、これも分かりにくいので、この部分を拡大してみます。
かなり酷なテストであるので、3回テストしてみましたが、全て同じ結果になってます。まさかこんな細かいところまで調整しているとは、、「HAJIME CL1」恐るべし・・・。。
では、これが彫刻にどう影響するかと申しますと、微々たる範囲だったりします。丸で囲ってますが、分かりますでしょうか???
今後色んな素材で検証を行っていくなかで、この微妙な差が出てくるのではないでしょうか??推測ですがゴム印とか、、、
最後に縦横の寸法ですが、両機種とも100mmきっちり出ています。
最後に
コレだけ値段差があるのに、まさか「HAJIME CL1」が好成績を出してくれるとは正直驚きました。今回の差は正直ほとんど無く写真の仕分けは困難を極めるくらい大変でした。ただし、「LS100」に強みはないの??と言われますと、そこには「加工速度」と言うのがあります。
今回のような比較的加工しやすい素材ですと、ヘッドスピードを上げることによって加工時間を大幅に削減できます。
冒頭でお話した通り、「HAJIME CL1」でベストな加工セッティングにて加工しており、今回の「彫刻サンプル」素材を加工し終わるのにかかった時間は「約13分」でした。ちなみに「LS100」で速度を最速にすると「約7分」で終わります。時間が大幅に短縮できますのが最大のメリットです。
今回のテストで「HAJIME CL1」を8時間くらい稼働しましたが、特に挙動や動作が不安定になることは一切ありませんでした。
なお、本体を稼働するためのソフトウェア「HARUKA」もとてもシンプルでして、イラストレーターから直接データを転送できます。このソフトで主にやることはレーザーのカットと彫刻のパラメーターを設定をする程度です。ですが、この転送がうまくいかないことが少々あったので、改善されるとありがたいと思います。
つづく
■製造メーカー
【 グラボテック株式会社 】
〒663-8202 兵庫県西宮市高畑町1-25
TEL:0798-63-6281
FAX:0798-63-6280
【 Oh-Laser 】
〒350-0021 埼玉県川越市大中居94-2
TEL:049-265-6046
FAX:050-3730-4692

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