【MDF】カット編 レーザーカッターバトル
お待たせしました!!
今回のMDF「カット編」では、みんな知りたい!!何ミリまで切れるの??と言う所に迫っていきたい思います。
結果を書く前に、レーザーカッターで少々厚めの素材をカットする際、あまり知られていない事があります。まずは、そこからお話したいと思います。それは、、、、
「切断面が真っ直ぐにならない」
ということです。何を言ってるか良くわからないと思いますが、結構重要な事なのに、何故かネットに殆ど情報が無のです。
その知識をもって今回の結果をみると、今まで見えなかったものが見えてくるかと思いますので、まずは解説からはじめます。
カット時の知識
その昔、恐らく小学生くらいでしょうか?理科の授業で虫眼鏡で太陽光を集めて紙を燃やす実験をしたことがありますか??
現在の教育でやってるかは定かではないですが、レーザーカッターもその方法を使って、最終的にレンズを使って集光し「光強度(図1)」を上げて焼き切ります。
レーザーカッターでは、基本的に素材の一番上(レンズに近い方)に焦点を合わせて(図2)加工します。ですので「スポット径」から離れれば離れるほどカットできるエネルギーが減退していくため、「図3」の様に加工断面が真っ直ぐにはならないのです。
もっとも、パワーとヘッドの移動速度で調整をして、ある程度無くす事はできるのですが、今回のテストでは両機種ともレーザーの出力を最大にし、切断できた時のヘッドスピードを採用して結果を書いていきます。
今回は、厚さごとに以下の結果を比較して行きたいと思います。
- 加工断面の結果(画像)
- ヘッドの速さ
- 加工時間
- 実寸(「加工上面:A」と「底面:B」の実測値)
- 加工断面との差(図5の「A – B」)
結果発表
今回カットのために用意したMDF素材の厚さは「2.5mm , 3mm , 5.5mm , 9mm , 12mm」の計5枚です。
レーザーの出力(強さ)は、両機種とも「100%」でカッティングしております。
それでは、各厚さごとに結果を見てみましょう!
■ 2.5mm
どうしたことか「HAJIME CL1」の方が「目標値(50mm)」ならびに、「上下の差」共に勝っています!!
「LS100」ですが、切断面の上部がフィレットを入れたようになっており、切断面を下にして自立できないという結果になりました。その他項目は以下の表になります。
▼MDF2.5mmの結果比較
LS100 | HAJIME CL1 | |
---|---|---|
ヘッド速さ | 12% | 16mm/s |
加工時間 | 7秒 | 9秒 |
上下の差(B-A) | 0.15mm | 0.03mm |
■ 3mm
まず「LS100」からですが、2.5mmでは違いは微々たるものであった上部のフィレットが、より分かりやすくなってます。
一方「HAJIME CL1」は、本当に少しなのですが裾の部分が少し広がってます。それでも上下差を見ると2.5mmの時とは変わらず、0.03mmという誤差レベルの差しかありません。
▼MDF3mmの結果比較
LS100 | HAJIME CL1 | |
---|---|---|
ヘッド速さ | 10% | 10mm/s |
加工時間 | 8秒 | 12秒 |
上下の差(B-A) | 0.18mm | 0.03mm |
■ 5.5mm
理由は分からないのですが、この厚さで切断時間が同じ結果となりました。パット見同じ濃さに見えますが、よく見てみると「LS100」の底面付近が、若干ですが色が薄い事が確認できます。出力並びに時間が同じであってもこういった差がでるので、どうもレーザーの質に差があるのではないでしょうか??
「上下の差」の値を見ると「HAJIME CL1」も10分の1ミリとなりましたが、それでも実寸に対しては「LS100」を上回っています。
▼MDF5.5mmの結果比較
LS100 | HAJIME CL1 | |
---|---|---|
ヘッド速さ | 5% | 9mm/s |
加工時間 | 14秒 | 14秒 |
上下の差(B-A) | 0.25mm | 0.20mm |
■ 9mm
まるで海苔のように見えますが、MDFの切断面です!!ここまでくると両機種とも炭化が激しく真っ黒な感じです。この厚さになると切断面から、両機種のレーザーの特徴が良く見えるかと思います。
「HAJIME CL1」では、スポット径から4.5mmのあたりを堺に急激にエネルギーが減退しています。
「LS100」の方は、スポット径のところが非常に強く、5mmくらいの距離からゆっくり減退している感じです。
恐らくこの特徴の違いは、焦点距離にあるのではないかと思われます。
▼MDF9mmの結果比較
LS100 | HAJIME CL1 | |
---|---|---|
ヘッド速さ | 2.5% | 3mm/s |
加工時間 | 31秒 | 48秒 |
上下の差(B-A) | 0.29mm | 0.21mm |
■ 12mm
事故発生!!
両機種ともヘッド速度を最低にしたら火災発生です。
よく言われますが、加工の際は発火を想定して、消火できるものを近くに置いて、さらに加工中は離れないようにしましょう!!
まとめ
結果は、両機種とも9mmまでカットできました!!
彫刻編、並びに今回のカット編でかなり色々なテストを行いましたが、両機種とも互角の戦いをしています。忘れないでほしいですが、「HAJIME CL1」の価格は、「LS100」に比べて3分の1です。正直9mmのMDFが切れる事自体が驚きだったります。色々なテストを重ねていき、両機種の特徴の違いが色々分かってきて、個人的には書いてて非常に楽しいです。今回のカットで分かった事はコチラです。
・HAJIME CL1
カットされる切断エリアの幅が小さく、実施に近い寸法がでる。
・LS100
切断エリアが広いが、パワーがあるので切削が早くでき、切断面の焦げが少なくなる。
最後に
冒頭で書きました「上下の差」無くす事はできるの??という実験結果を書いておきます。
「HAJIME CL1」にて2.5mmでテストしました。条件はパワー100%で、少しずつ速度を落として寸法を比較します。
▼「HAJIME CL1」での速度変化による違い
速度 | 16mm/s | 8mm/s | 4mm/s |
---|---|---|---|
A(上面) | 49.89mm | 49.68mm | 49.92mm |
B(底面) | 49.92mm | 49.69mm | 49.86mm |
上下の差(B-A) | 0.03mm | 0.01mm | -0.06mm |
大体8mm/sで上下の差を無くすことができました。
面白いことに、速度を落とす(4mm/s)と底面の方がえぐられるのですね、、僕も初めて知りました。
最後に加工断面の拡大写真をお見せして終わりにしたいと思います。
上から「16mm/s,8mm/s,4mm/s」です。
次回の素材は「アクリル」を予定してますので、ご期待下さい!!
つづく
■製造メーカー
【 グラボテック株式会社 】
機種名:LS100
〒663-8202 兵庫県西宮市高畑町1-25
TEL:0798-63-6281
FAX:0798-63-6280
【 Oh-Laser 】
機種名:HAJIME CL1
〒350-0021 埼玉県川越市大中居94-2
TEL:049-265-6046
FAX:050-3730-4692

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