【アクリル】彫刻編 レーザーカッターバトル
いきなり何かと言いますと、今回検証するアクリルの彫刻においては、加工箇所が白くなるのが良いとされています!!
一般的には「ブラスト処理」というのが有りまして、素材に砂や鉄粉等をぶつけて表面を凸凹の状態にする加工方法です。
レーザーカッターでも無論、こういう感じの彫刻ができるのが望ましいのですが、果たして結果はどうなるのか??
それでは、検証開始!!っと行く前に、、分かりにくいアクリル素材の種類からお話して行きたいと思います。
キャスト??押出し??
アクリル素材を買おうとすると必ず行き当たる「押出し」と「キャスト」の選択肢、、調べてみるとレーザーカッターでは「キャストが良い!」と言われていますが、果たして本当でしょうか??
まず、これらの違いを調べてみますと、どうにも製造過程が違うようです。その違いはこんな感じです。
・キャスト
液体化したアクリル素材を型に入れて成形する。
・押出
粘土のような状態のアクリル素材をローラーで伸ばして成形する。
この工程の違いから、以下のような品質の違いが出でます。
▼キャスト、押出しの違い
キャスト | 押出 | |
---|---|---|
熱耐性 | 強い | 弱い |
硬度 | 硬い | 柔らかい |
値段 | 高価 | 安価 |
一番気になる値段差ですが、だいたいレーザーカッターで良く使用する「300×450mm」サイズで厚さが「2〜3mm」であれば、数百円くらいの差です。
各種設定値
検証を開始する前に、今回の設定値です。素材ごとに値は変えず、全て以下の表の値にて加工しました。
▼各種設定
LS100 | HAJIME CL1 | |
---|---|---|
パワー | 15% | 30% |
ヘッド速さ | 12% | 30cm/s |
解像度 | 1000DPI | STEP:1(1000DPI) |
加工時間 | 30分 | 36分 |
それでは、今回は機種ごとに「押出し」と「キャスト」の違いを比較していきたいと思います。
全体の比較
・HAJIME CL1
まず、「HAJIME CL1」からです。
「押出し」は、全体的に半透明で若干ムラがあります。一方「キャスト」は、まるでブラスト処理をしたかのようなキレイな感じで仕上がってます。
・LS100
こちらの機種では、両素材とも半透明な感じです。写真では分かりにくいですが、「押出し」はほぼ透明で、エンボス加工した感じになってます。一方「キャスト」の方は「HAJIME CL1」に比べて色は薄いですが、キレイに仕上がっています。
それでは、各々見どころをクローズアップして見ていきたいと思います。
外枠の比較
・HAJIME CL1
よく見るとレーザーカッター特有の水平の線が見えるかとかと思います。「押出し」ではこの「線」の頂点にあたるエッジが溶けて丸まっています。それが原因で「キャスト」に比べると半透明になってるのが分かります。ただ、説明があっても写真ではちょっと見にくいかと思います。全体比較で「押出し」にムラがあったのも、この溶ける工程があり、これが一定でないためムラが出たのかと思います。
ここで言えることは、「押出し」であってもしっかり溝が構築されているところです。その当たりを念頭に次の「LS100」を見てみて下さい。
・LS100
こちらの機種は、前回の「MDFカット編」の冒頭でお話ししました「スポット径」が広いのと、パワーがあります。その為「押出し」では、水平の「線」が完全に溶けており、彫刻エリアがほぼ透明になってます。
「キャスト」でも「HAJIME CL1」に比べてエッジがゆるくなってるので、色の濃さが薄くなってますが、全体的な仕上がりは非常キレイです。
文字の比較
・HAJIME CL1
「押出し」「キャスト」共に溝が見えますが、上記「外枠」と同様に「押出し」の方が先端が溶けて丸くなってます。こちらの写真の方が、まだ分かりやすいかと思います。
・LS100
上記「枠」よりさらに、「押出し」素材において溝が殆どないのが分かるかと思います。一般的に、レーザーカッターで「押出し」素材を使うとこのようになるため、あまり推奨してないとの事です。
彫刻の比較
・HAJIME CL1
ここまで細かいのに、両素材とも溝がしっかり見えています。特に尻尾の部分は非常に細かいエリアですが、「押出し」素材においてもしっかり溝があるのが驚きです。
・LS100
今までの結果同様、「押出し」素材では「溝」が無いに等しいです。透明でキレイではあるのですが、導光したい場合などはかなり不利になるのでは無いでしょうか。
まとめ
今回の検証で撮った写真は、背景を黒にして、出来る限り彫刻エリアのムラが目立ようにして撮影しました。
そういった厳しい条件でも「HAJIME CL1」は素晴らしくキレイで、一般的に使うであろう照明下では、それはまるで「白いインクで塗装した」ような綺麗さです。私自身初めて色々比較したのですが、こんなにも違いが出たのに正直驚きを隠せません。メイカーズラブのスタッフも皆、この綺麗さに驚いてます。
後、写真では非常に分かりにくいのですが、「LS100」では、ところどころに彫刻ムラができます。ムラというよりは、水平にライン状の濃淡がでる所があり、レーザーカッターとはそういうものなのだなぁ、、と思ってました。しかし、今回の「HAJIME CL1」の結果から、そうでは無いんだと言う事がわかりました。
最後に濃さを比較すると、「HAJIME CL1(キャスト)」の濃度を「100%(ほぼ透けない)」とした場合こんな感じです。
▼アクリル素材と機種ごとの濃度比較
濃度 | 機種 | 素材の種類 |
---|---|---|
100% | HAJIME CL1 | キャスト |
50% | HAJIME CL1 | 押出し |
50% | LS100 CL1 | キャスト |
10% | LS100 CL1 | 押出し |
そういうわけで、今回のバトルは「キャスト」は無論の事、「押出し」素材であろうが、容赦なく加工できる「HAJIME CL1」の圧勝と言う結果です。
つづく
■製造メーカー
【 Oh-Laser 】
機種名:HAJIME CL1
〒350-0021 埼玉県川越市大中居94-2
TEL:049-265-6046
FAX:050-3730-4692
【 グラボテック株式会社 】
機種名:LS100
〒663-8202 兵庫県西宮市高畑町1-25
TEL:0798-63-6281
FAX:0798-63-6280

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